2017年6月4日日曜日

1-47-a ジャン=シャルル・ピシュグリュ(1)


シャルル・ピシュグリュはブザンソンからおよそ9リーグほど離れたアルボワという物語に出てきそうな小さな町に1761年に生まれた。

アルボワ

このプロテスタントがほとんどを占める地域にて、貧しく、身分の低い家に生まれた若いシャルルにとって、内面を向上する機会は乏しいかと思われた。しかしアルボワには在俗僧侶の為の学校と修道院があり、それらによって彼は無償で勉学が可能となった。

彼はよく学び、よって修道院の上部はブリエンヌにある系列の施設にて、彼に哲学と数学の教師の職を与えようとした。これによって彼は公的に僧籍に属することになるが、彼は奉職の請願を立てなかった。彼の天職は大きく違っていたのだ。ブリエンヌでは、彼はナポレオン・ボナパルトの教官となる。

1783年、彼はユークリッドとアリストテレスの道を断念し、ヴォーバン[ルイ14世時代の戦術家]とクーホルン[オランダの砲術家]の道を選び、砲兵連隊に一兵卒として入隊する。彼はすぐに軍曹に昇進し、1789年には連隊付き副官となった。そして3年後に志願兵から成る大隊を委ねられ、ライン方面軍に派遣された。そこにて彼は際立った働きを見せ、わずか数カ月後に中将に昇進したのみならず、方面司令官に任じられた。このような急速な軍事史において先例がなかった。これは、彼の軍人としての才能というよりも、人民の(むしろロベスピエールの)代理人たるサン・ジュストとルバの引き立てによることに疑いはない。

ピシュグリュがこの重要な任務を拝命した時、軍隊が無秩序の極みであることに気がつく。彼は規律と言えるものを回復した。何人かの将校を取り除いて、代わりに下士官から登用を行った。また短期間のうちに、敗戦が引き起こした士気の低下を拭い去った。彼が採用した新たな戦術は、他の何よりも彼の軍隊に自信をつけさせた。彼はこれまでの指揮官の誰よりも狙撃兵と砲兵を多く活用し、彼による迅速かつ間隙の無い攻撃はオーストリア軍に息を吐く暇さえ与えなかった。敵軍との野戦が発生する時、常に彼はその場に現れた。だが、彼は長い単調な攻囲戦で時間と兵力を消耗するのは嫌った。彼は全軍を打ち破ることを選び、よって砦の陥落は当然の結果となった。

軍司令官 ピシュグリュ

この将軍の心理がどのようにして、そしてどの時期から王家への関心に転じたのか定かでは無い。彼は明らかに現状の情勢を嫌悪していた。彼は暴力、略奪そして殺戮が彼の国を蝕んでいると捉え、彼の首も一日たりとて安全ではないと感じていた。これらの要素は疑いもなく彼の中で重きを占めただろうが、だがおそらくそれ以上に、坊主見習いは王政復古による報酬を期待していた。1795年にコンデ公からの密使が彼の司令部の置かれたアルトキルシュにやって来た時、彼はほぼ完全に転向していた。

ピシュグリュは王家を支援する用意は出来ていたが、ブルボン家が考案した、それを執行するにあたり関係者を破滅させる事が必定の計画を非難した。彼は自身の判断で行動させろと主張し、連合国軍の将軍たちと接触して彼らと協働すると約束した。彼は彼自身でより賢明な、それによって成功間違いなしの計画を練っていた。彼が更にそれを実行に移し出した頃、総裁政府はどうやってか彼の企ての機密情報を入手し、直ちに彼をパリへ召還する。政府が脆弱であること、漏れた情報が不完全であること、そして自分の声望の大きさに自信を持っていた彼はその命令に従った。総裁政府はあえて手を下さないだろうとの彼の見込みは正しかった。実際、政府に指揮権は剥奪されたものの、スウェーデン大使に任命される。しかし彼はにべもなくそれを断った。その後、彼は故郷近くのベルヴォーの修道院に隠棲し、そこで邪魔されることのない平穏な日々を数ヶ月間過ごす。1797年に、上ソーヌ地方区が彼を五百人会へ代表として送り込まなければ、彼はおそらくそのままの生活をし続けただろう。

総裁たちがこのブルボン家の仲間の議員就任を危惧し無いはずはなかった。彼が議長に選出された時の総裁たちの心情はいかなるものだったろうか?それゆえ総裁たちは、彼が同輩らに働きかける様を鋭い目で監視すると、その内容が主に正規軍の威力に対抗しうる軍備の組織から徐々に君主制復活の道を開こうとするものであると確信した。総裁らは急激に警戒心を高めるあまり、嫉妬しているにも関わらず、ボナパルトに助言と支援を要求した。オージュローがパリへ派遣され、フリュクティドール18日のクーデターは成功する。そしてピシュグリュは他の多くの議員らと共にタンプル塔に収監された。極めて例外的な措置を行うにあたり民意の了承を得るため、以前にモローの手に落ちたブルボン家との書簡が公表された。そしてすぐさま総裁政府はピシュグリュと約50名の議員らを流刑に処した。

五百人会で逮捕されるピシュグリュ


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